“四馬の教え”に学ぶ人材育成のヒント
人は「気づいたとき」に動く
― 仏教の“四馬の教え”に学ぶ人材育成のヒント ―
部下育成に関わっていると、こんな経験はないでしょうか。
同じように指導しているのに、すぐに行動を変える人もいれば、何度伝えてもなかなか変わらない人もいる。
「どうしてこんなに理解のスピードが違うのだろう」と感じたことがある管理職の方も多いと思います。
実は、この“人の気づき方の違い”をとても分かりやすく説明している教えがあります。
それが、仏教に伝わる四馬(しば)の教えです。
人の学び方を表す「四種類の馬」
四馬の教えでは、人がどのタイミングで気づき行動するかを、四種類の馬で表しています。
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第一の馬
鞭の影を見ただけで走り出す馬 -
第二の馬
鞭が体に触れた瞬間に走る馬 -
第三の馬
鞭で打たれて痛みを感じてから走る馬 -
第四の馬
強く打たれて初めて走る馬
これは、人の優劣を表す話ではありません。
人にはそれぞれ「気づくタイミング」があるということを示しています。
職場にも存在する「四つのタイプ」
この考え方は、人材育成の現場でも非常に当てはまります。
職場にも次のような人がいます。
① 一度の助言で行動を変えられる人
上司のアドバイスや周囲の状況を見て、自ら改善できるタイプです。
② 少し経験すれば理解できる人
実際にやってみることで、仕事の意味や方法を理解していくタイプです。
③ 失敗を通して学ぶ人
失敗や課題に直面して初めて、仕事の本質に気づくタイプです。
④ 大きな出来事でようやく変わる人
強い挫折や環境の変化を経験して、ようやく意識が変わるタイプです。
重要なのは、どのタイプの人も成長の可能性を持っているということです。
ただし、気づくタイミングが違うだけなのです。
人材育成で起きる「誤解」
多くの管理職が悩むのは、次のような場面です。
「一度言えば分かるはずなのに、なぜ理解しないのだろう」
しかし四馬の教えから見ると、これは自然なことです。
人は必ずしも言葉だけで理解するわけではありません。
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経験して理解する人
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失敗して初めて腹落ちする人
こうした学び方の違いがあるからです。
そのため、育成において大切なのは「すぐ理解させること」ではなく、気づく機会をつくることです。
優れた上司は「気づきの環境」をつくる
では、管理職はどのように関わればよいのでしょうか。
四馬の教えは、次の三つのヒントを与えてくれます。
1. 人の理解スピードには差があると理解する
同じ指導でも反応が違うのは当然です。
その前提を理解するだけでも、マネジメントの視点は大きく変わります。
2. 失敗を学習の機会に変える
第三の馬のように、失敗を通して学ぶ人もいます。
重要なのは失敗を責めることではなく、
「この経験から何を学べるか」を一緒に考えることです。
3. 考える機会を与える
優れた指導者は、答えをすぐに教えません。
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なぜそう思うのか
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他に方法はないか
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次はどう改善できるか
こうした問いかけを通して、人は自分の行動を理解していきます。
人を育てるとは「気づきを支えること」
人は、理解したから動くのではなく、気づいたときに動くと言われます。
だからこそ、リーダーの役割は人を急がせることではなく、気づきの機会をつくり、成長の瞬間を支えることにあります。
四馬の教えは、次のことを静かに教えてくれています。
人の成長にはそれぞれのタイミングがあり、
その瞬間を支えることこそが、
人材育成の本質なのかもしれません。
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